選挙日誌(番外編):昨日見た夢
昨夜夢を見た。かなり鮮明な夢だった。
学校の校舎の裏庭のようなところで、僕は奇妙な生物を発見した。焼却炉が近くにあって、煙突から煙があがっていた。その奇妙な塊は四つ足でよろよろしながら歩いている。校舎の壁にもたれかかってなんだか苦しそうだ。それは鉛色で表面はツルツルしていて光沢があった。濡れた粘土でできているような感じで目も鼻も口も判然としない。半分溶けているような、でも刻々と姿が変容しているようだった。形態として一番近しいと思われるのはイノシシだ。だが明らかにイノシシではない、強いて言えばイノシシになろうとしている何物かだ。
僕は友達を呼んだ。「ちょっと来い、なんかいるぞ」
彼ら(彼女ら)は高校生くらいの年頃に見えたから、多分僕も同じ年頃だったのだろう。そこは良く覚えていない。
突然それは走り出した。走りながら毛が生えてきているようだった。僕たちはそれを追いかけた。その時にはもうイノシシの形態に近ずいていたので、僕たちは危険も感じながら遠巻きに追い詰めていった。すでにキバが生え、白と茶色のマダラの体毛に覆われていた。美しい生き物になっていた。時々向きを変えながら、ときには僕らの方に向かって突進して来たりもした。僕らは今度は慌てて逃げたが、一定の距離を保って観察していた。よく見ると背中から翼の骨格のようなものが突き出ていた。
イノシシに見えたそれはいつの間にか怪鳥に変化していた。極彩色の巨大な鳥で、息をのむほど美しかった。全体的な色合いはキジのように光沢のある羽毛だが、ベースは真っ赤だった。長い尾羽に赤いトサカもあった。表現するとしたら「始祖鳥」に近いのかもしれない。いわゆる一般イメージとして。
怪鳥は大きく羽ばたいて校舎の外に飛んで行った。僕たちはそれを見失わないように走って追いかけた。
いつの間にか商店街のアーケイドに来ていた。それがアーケイドのなかに侵入して行ったからだ。そして怪鳥はそのままの形で小鳥サイズに変化していた。あちこち飛び回ったあげく、僕の近くに降りて来た。商店街をなんの警戒心もなく、ヒョコヒョコ歩いている。僕はとっさに飛びついた。ホームベースにヘッドスライディングするように、両の掌で小鳥を捕獲した。
つかまえた。小鳥はキョトンとして僕を見ている。逃げそうな気配もなかったが、僕は友達に叫んでいた。
「カゴを! 誰か鳥カゴを探して来てくれ」
なかなか悪くない夢でしょう? 今年見た夢の中では佐伯に移住したデビット・リンチに匹敵する面白さです。